院長挨拶
大分丘の上病院は、平成元年7月1日に精神科・心療内科の病院として開業しました。
開業にあたり、私は世界有数の精神科病院とされていたアメリカ・カンザス州のメニンガー病院で研修を受けました。そこでは、多職種によるチーム医療、多彩な集団治療法、そしてリハビリテーションが実践されていました。私は、そのメニンガー病院で学んだことを当院で実践していくことを決意し、今日まで取り組んでまいりました。
開業当初は、児童思春期精神医療に力を入れ、不登校、自傷・自殺未遂、境界性パーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、摂食障害の治療に尽力しました。
また、一般的な精神疾患である不安症、強迫症、うつ病、双極性障害、統合失調症、アルコール依存症、認知症の診療をはじめ、休職者のリワーク(職場復帰支援) にも積極的に取り組んできました。
さらに、内科専門医も在籍しており、精神疾患に併存する内科疾患を持つ患者さんの治療にも対応しています。
精神科・心療内科の病気には、さまざまな原因と病態生理があります。
① 心理社会的要因(ストレスや喪失など)によるもの
例:適応障害、不登校、摂食障害、不安症、PTSD
② 生物学的要因(ストレスに加え、遺伝的な脳の脆弱性が関与)によるもの
例:大うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害
③ 器質的要因(薬物、外傷、脳疾患、加齢などによる脳の影響)によるもの
例:アルコール依存症、高次脳機能障害、認知症
これらの病態を理解したうえで、次のような治療を行います。
1. 休養・栄養・良質な睡眠の確保
2. 精神療法(認知行動療法など)
3. 薬物療法(脳神経の消耗や異常の修復)
4. 精神科リハビリテーション
更に当院では独自の治療アプローチを行っています。
まず入院後に家族や関係者が一堂に会して治療方針を決める「合同面談」を実施しています。
また、以下の各種集団精神療法にも力を入れています。
• 統合失調症:心理教育プログラム「虹の会」
• うつ病: 集団認知行動療法「陽だまりの会」、復職支援プログラム「リワーク」
• 摂食障害(拒食症・過食症):自助的複合集団精神療法「コスモスの会」 を中心とした包括的治療
• アルコール依存症: 院内断酒会「知友会」、アルコールリハビリテーションプログラム「ARP」
• 10代女性向けの支援:「ガールズ・ミーティング」
また、治療抵抗性統合失調症に対するクロザリル治療も実施しています。
以上の治療を下記の場所で行なっています。
• 外来診療
• 入院治療:急性期治療病棟(3階)、精神一般病棟(2階)
• 地域サポートステーション(リワーク・訪問看護)
各部門では、医師、看護師、薬剤師、検査技師、心理療法士、作業療法士、栄養士、精神保健福祉士などの専門職がチーム医療を展開しています。
当院のスローガンは、「癒しと再生」です。
患者さんに寄り添う医療従事者として、まず患者さんの苦しみを受け止め、症状を和らげ、癒すことが大切です。そのうえで、患者さんが自分の力で生活できるよう自立を支援して生活を再生することを目標にしています。
そのためには、単に病気や症状だけでなく、家庭環境、生い立ち、人生観にも関心を持ち、患者さんのこころの奥深くに向き合いながら、最適な治療と支援を提供することを大切にしています。
心の病を抱えて生きることは、身体の病気以上に辛く、苦しいものです。
まずは、その苦しみをお聞かせください。
医師紹介

理事長・院長帆秋 善生
主な専門領域 | 精神科全般・思春期精神医療・摂食障害・うつ病・双極性障害・認知症 |
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資格 | 精神保健指定医 日本精神神経学会精神科認定専門医・専門医制度指導医 日本精神科医学会認知症臨床専門医 認知症サポート医 大分医療センター開放型病院登録医 |
役職 | 日本医師会 代議員 大分県病院協会 理事 大分県医師会 副議長 大分郡市医師会 議長 大分市連合医師会 議長 大分県精神科病院協会 理事 大分県精神科病院協同組合 副理事長 大分県障害者施策推進協議会 委長 大分市社会福祉審議会 委員 社会福祉法人温寿会 庄の原苑 評議員 大分いのちの電話 理事・スーパーバイザー 久留米大学精神神経科非常勤講師 |
副院長帆秋
主な専門領域 | 精神科全般・思春期精神医療・摂食障害 うつ病・双極性障害・認知症 セクシュアリティ等に関する相談・リワークプログラム |
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資格 | 精神保健指定医 日本精神神経学会精神科認定専門医・専門医制度指導医 クロザリルCPMS登録医 |
医局長西田
主な専門領域 | うつ病・双極性障害 |
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資格 | 精神保健指定医 |
医師手嶋
主な専門領域 | 老年期精神障害 |
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資格 | 精神保健指定医 |
医師塚本
主な専門領域 | 精神科一般 |
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資格 | 日本精神神経学会精神科認定専門医 |
医師生田
主な専門領域 | 精神科一般 |
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資格 | 精神保健指定医 |
理念
「3つの柱」治療理念
医療法人善慈会は、医療・保健・福祉を通じて、人々の健康向上に寄与し、地域社会の発展に貢献する。
心の病の治療には
力動精神療法 | こころの動きをあつかう |
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薬物療法 | 薬理学的倫理に基く治療 |
リハビリテーション療法 | 患者の社会復帰を目指す |
大分丘の上病院のスタッフはこの3つの柱の調和を目指しています。
病院基本方針
- 思春期から老年期までの精神医療と心身医療に広く取り組みます。
- 人権を尊重し、共に歩み、癒しをもたらし、再生を目指す医療を行います。
- 科学的な治療を、各職種のチーム医療で誠実に提供します。
概要
名称 | 医療法人善慈会 大分丘の上病院 |
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住所 | 〒879-7501 大分県大分市大字竹中1403 TEL 097-597-3660 FAX 097-597-3657 |
開設日 | 1989年7月1日 |
開設者 | 帆秋善生 |
院長 | 帆秋善生 |
診療科 | 精神科・心療内科・神経内科 |
病床数 | 125床 |
施設基準 | 精神科急性期治療病棟入院料1、精神病棟入院基本料、精神科救急搬送患者地域連携受入加算、精神科応急入院施設管理加算、摂食障害入院医療管理加算、依存症入院医療管理加算、酸素の購入価格に関する届け出、患者サポート体制充実加算、精神科急性期医師配置加算1、医療保護入院等診療科、ハイリスク妊産婦連携指導料2、ニコチン依存症管理料、抗精神病特定薬剤治療指導管理料、後発医薬品使用体制加算3、精神科退院時共同指導料1、精神科退院時共同指導料2、精神科身体合併症管理加算、薬剤管理指導料、精神科作業療法、依存症集団療法3、精神科ショートケア(小規模)、精神科デイケア(小規模)、精神科デイナイトケア(小規模)、入院時食事療養(Ⅰ)、医療情報取得加算、一般名処方加算、医療DX推進体制整備加算(初診)、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、入院ベースアップ評価料(算定区分21) |
承認事項 | 協力型臨床研修病院、日本精神神経学会研修指定病院 |
1階 | 精神科外来 精神科作業療法 |
2階 | 精神一般病棟(65床) |
3階 | 精神科急性期治療病棟(60床) |
新館・地域生活 サポートステーション |
精神科(小規模ショートケア・デイケア・デイナイトケア)、 精神科訪問看護 |
連携施設 | 社会医療法人財団天心堂 へつぎ病院 医療法人社団三愛会 大分三愛メディカルセンター 大分市医師会立アルメイダ病院 久留米大学病院 精神科 大分大学附属病院 精神科 東京中央メンタルケアクリニック |
受入教育機関 | 大分県立看護科学大学 大分市医師会看護専門学校 藤華医療技術専門学校 麻生看護大学校通信制 |
敷地面積 | 10,428平方メートル(3,160坪) |
建物面積 | 5,835平方メートル(1768.2坪) |
沿革
平成1年 7月 | 丘の上病院 開業。 神経内科・精神科を標榜。 久留米大学精神神経科教育関連病院になる。 |
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平成1年 8月 | 大分丘の上病院と名称変更。 |
平成2年 6月 | 訪問看護開始。 |
平成4年 3月 | 医療法人 善慈会 大分丘の上病院として法人化する。 |
平成4年 9月 | 外来デイケア開始。 |
平成6年 7月 | 第9回九州集団療法研究会 当院で開催 |
平成6年 8月 | 精神科療養病棟I取得。 作業療法施設認可。 作業棟(木工陶芸所)完成。 |
平成8年 3月 | 増改築完成。リハビリテーション研修室、宿泊施設、職員福利施設。 3階西(女性思春期)病棟を新設。 |
平成8年 10月 | 大分市医師会看護専門学校実習病院となる。 心療内科を追加標榜。 |
平成9年 5月 | 精神科デイケア申請認可される。 |
平成9年 7月 | 第17回九州集団療法研究会 当院で開催。 |
平成10年 6月 | 智泉総合福祉専門学校精神保健福祉科実習病院となる。 |
平成10年 10月 | 運動場完成。 大分県立看護科学大学実習病院となる。 |
平成11年 5月 | 国立大分大学教育福祉科学部実習病院となる。 |
平成12年 4月 | 国立大分大学教育心理学科実習病院となる。 入所授産施設「千歳ハイツエイブル」開設 嘱託医となる。 |
平成14年 7月 | 第1回社会復帰フォーラム 当院で開催。 |
平成15年 7月 | 新館(ストレスケア・思春期病棟ほか)完成。 |
平成15年 11月 | 本館1階フロア改修工事。 |
平成15年 12月 | 本館1階に茶店「Cafe hill top」完成・オープン。 |
平成18年 10月 | 第32回九州集団療法研究会 当院で開催。 |
平成19年 7月 | 電子カルテ導入。 |
平成19年 8月 | 地域生活サポートステーション設置 (大規模デイケア、訪問看護の充実を図る) |
平成20年 4月 | 日本医療機能評価機構認定病院(Vo.5)となる。 |
平成20年 11月 | 就労フォーラムを当院で開催。 |
平成21年 4月 | 共同住居 花梨 開設。 デイナイトケア(大規模)開始 |
平成22年 2月 | 病棟再編成 Ⅰ病棟 療養病棟(30床) Ⅱ病棟 リハビリテーション病棟(54床) Ⅲ病棟 急性期治療病棟(56床) |
平成22年 6月 | 平成22年6月1日より Ⅲ病棟(56床) 精神科急性期治療病棟開始 |
平成25年 10月 | 院長 第61回精神保健福祉全国大会にて精神保健福祉連盟表彰受賞 |
平成25年 11月 | 病棟リワークプログラム、デイケアリワークプログラムを開始 |
平成26年 8月 | 外来棟完成 |
平成26年 11月 | 平成26年11月1日より Ⅰ病棟(30床)精神一般病棟開始 |
平成27年 2月 | 本館の改修工事完了 |
平成28年 5月 | I病棟(30床)精神療養病棟変更 |
平成28年 10月 | 院長 全国精神保健福祉大会厚生労働大臣表彰 受賞 |
平成28年 11月 | 病棟再編成 I病棟 精神一般病棟(32床) Ⅱ病棟 精神一般病棟(60床) Ⅲ病棟 精神科急性期治療病棟(48床) 第42回九州集団療法研究会 当院で開催 |
平成29年 6月 | 平成29年6月1日より病棟再編成 Ⅱ病棟 精神一般病棟(65床) Ⅲ病棟 精神科急性期治療病棟(60床) |
平成30年 7月 | 病院創立30周年 感謝の会開催 |
令和6年 3月 | 第35回九州アルコール関連問題学会 大分大会 J:COMホルトホール大分で開催 |
令和7年 3月 | 電子処方箋導入 |